あーあ、また埃集めてる。何が楽しいんだかね。
平田 才苗、調整通り出身。リコールド。
負の感情の表現方法を学ばずにここまで生きてきた子。
まあ、出身地的に仕方のないことではある。
"調整通り"、モディファイド・アベニュー。
正しい世界しか見ることの出来ない被害者どもの住む場所。
その場所の不幸にも幸福な夫婦の元に生じてしまったのが才苗ちゃんの幸福な不幸の始まり。
そこで偶然幸福にも不幸を見てしまったのが幸福な不幸の終わり。
そして去年不幸にも私のもとに流れ着いてしまったのが、幸福の始まり。
まあ実際のところ、モディファイド・アベニューの恢復事例なんて拾いたい人間はいなかろうし、
私に会えたのは運命（偶然）かもしれないね。
とはいえ。
彼女では足りないのだ。
役者としての質と量が圧倒的に不足している。
平田 才苗は私の道具として十全に動いてくれるけれど、
彼女自身の質の低さゆえ彼女に求められる役割は小さい。
動機のアウトソーシング。
私はそれを、
「もし。求めている役者が現れたならば私はそれを実行する。
もし。求めている役者が現れぬならば、私はそれを墓まで持ってゆく」
そう決定したってわけ。
