事恢
例復

Anne side - 04

呆然自失。

呆然としていた。目の前で無感情に自死する人の群れ。
私には何も、出来ない。

「おいアンヌ!核を、核を探せ!」

カサネの声。そうだ、何も出来ないなんてこと、ない。
私にはまだ、彼らを救う方法がある。

++;

反応を辿る。この現象の引き金になった少女の反応。

「この先を真っすぐ」
急ぐ。
「そこを右」
急ぐ。
「その階段」
急ぐ。
幸いにもこのマンションには待機列が無い。
息が切れそうになりながら、駆け上がる。

++;

屋上。

手すりの向こう側。

一人の少女と目が合った。

少女の目は驚きに見開かれ、

その拍子に、屋上から足を踏み外した。

++;

さながら土砂降りの雨か。
核の少女が転落死してから、人々は順番を待つ理由を失ったようで。
瞬く間に道という道が死体で埋め尽くされた。

誰もいない屋上で、私はただ立ち尽くした。

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