呆然としていた。目の前で無感情に自死する人の群れ。
私には何も、出来ない。
「おいアンヌ!核を、核を探せ!」
カサネの声。そうだ、何も出来ないなんてこと、ない。
私にはまだ、彼らを救う方法がある。
++;
反応を辿る。この現象の引き金になった少女の反応。
「この先を真っすぐ」
急ぐ。
「そこを右」
急ぐ。
「その階段」
急ぐ。
幸いにもこのマンションには待機列が無い。
息が切れそうになりながら、駆け上がる。
++;
屋上。
手すりの向こう側。
一人の少女と目が合った。
少女の目は驚きに見開かれ、
その拍子に、屋上から足を踏み外した。
++;
さながら土砂降りの雨か。
核の少女が転落死してから、人々は順番を待つ理由を失ったようで。
瞬く間に道という道が死体で埋め尽くされた。
誰もいない屋上で、私はただ立ち尽くした。